
エグゼクティブサマリー
2025年9月は、Googleの検索アルゴリズムおよび検索仕様において重要な変更が相次いだ月となりました。8月26日から展開されていたスパムアップデートが9月22日に完了し、AIによる大量生成コンテンツや低品質な情報を掲載するサイトへの対策が強化されました。同時に、検索結果の表示仕様においても大きな変更があり、従来利用可能であった100件一括表示パラメータが無効化されたことで、順位計測や解析ツールに広範な影響が生じています。本レポートでは、これらのアップデートの詳細と実務への影響、そして今後のSEO対策として取り組むべき施策について、技術的な観点から分析してまいります。健全なサイト運営を継続している場合、スパムアップデートによる直接的な悪影響は限定的と考えられますが、検索仕様の変更については順位モニタリングやレポーティングの運用面で対応が求められる状況です。
Googleスパムアップデートの完了と影響分析
8月26日に開始されたGoogleスパムアップデートは、約4週間のロールアウト期間を経て2025年9月22日に完了しました。このアップデートの主な目的は、AIを活用して大量生成されたコンテンツや、検索順位を人為的に操作しようとする作為的なコンテンツ、そして過度に低品質な情報を掲載しているサイトを検索結果から適切に再評価することにあります。Googleは近年、生成AIの普及に伴って増加した自動生成コンテンツへの対策を強化しており、今回のアップデートもその流れの中に位置づけられます。
健全なサイト運営、すなわちオリジナルかつユーザーにとって有益な情報を継続的に提供しているサイトにおいては、本アップデートによる顕著な順位変動は確認されていません。しかしながら、アップデート完了後の検索結果を詳細に観察すると、必ずしもすべての問題が解消されたわけではないことが見て取れます。具体的には、更新が長期間停止している古いサイトが依然として上位に表示されるケースや、大手ドメインの評判を利用したテクニカルな手法で構築されたサイトが上位を維持しているケースが散見されます。これらの事象は、Googleがアルゴリズムの調整において依然として試行錯誤を続けていることを示唆しており、今後も継続的な改善が行われることが予想されます。
検索仕様の重要な変更と順位計測への影響
スパムアップデートとは別に、9月にはGoogleの検索仕様において実務上きわめて重要な変更が実施されました。これまで検索URLに付与することで1ページあたり100件の検索結果を表示できた「num=100」パラメータが無効化され、標準の10件表示のみが可能となりました。この変更は、順位計測ツールや競合分析ツールの運用に直接的な影響を及ぼしています。
| 項目 | 従来の仕様 | 変更後の仕様 |
|---|---|---|
| 1ページあたりの表示件数 | 最大100件(num=100パラメータ使用時) | 10件のみ |
| 11位以下のデータ取得 | 1リクエストで取得可能 | 複数リクエストが必要 |
| 順位計測の効率性 | 高い | 大幅に低下 |
| サーチコンソールへの影響 | なし | インプレッション減少・平均順位上昇 |
従来、多くの順位計測サービスや解析ツールでは、この100件表示機能を前提として設計されていました。1回のリクエストで100位までの順位データを効率的に取得できるため、11位以下のキーワード順位も含めた包括的なモニタリングが可能でした。しかし現在は10件ごとにしかデータを取得できなくなったため、同じ範囲の順位を計測するために必要なリクエスト数が大幅に増加し、計測の効率性が著しく低下しています。
この仕様変更は、サーチコンソールのデータにも間接的な影響を与えています。多くのユーザーは検索結果の2ページ目以降を閲覧しないため、11位以下のページは表示機会そのものが大幅に減少しています。その結果、サーチコンソール上ではインプレッション数の減少が観測される一方で、上位表示されているページに限定されたデータとなるため、平均順位やクリック率が相対的に上昇するという現象が発生しています。これらの数値変動はサイトの実質的なパフォーマンス向上を意味するものではなく、計測環境の変化に起因するものである点に留意が必要です。
順位計測サービスにおける対応状況と今後の方針
前述のnum=100機能の廃止に伴い、弊社の順位計測サービスにおいても一定の制限が生じております。現在、システム改修を進めておりますが、この問題は弊社固有のものではなく、大手の順位計測サービスにおいても同様に対応に苦慮している状況が報告されています。
技術的には、サーバーリソースの強化や分散処理の拡充により、10件ずつの順次取得を行うことで従来と同等の範囲をカバーすることは理論上可能です。しかしながら、このような手法はGoogleの利用規約との整合性や、将来的なさらなる規制強化のリスクを考慮すると、持続可能な解決策とは言えません。実際、Googleは検索結果の自動取得に対する規制を段階的に強化する傾向にあり、今後もこの方向性が継続することが予想されます。
このような状況を踏まえ、弊社としては現実的な対応として、20位前後までの順位レポートを標準的な提供範囲とする方針への移行を検討しております。ご利用のお客様にはご不便をおかけいたしますが、サービスの安定性と持続可能性を確保するための措置として、ご理解を賜りますようお願い申し上げます。なお、上位20位以内の順位変動を重点的にモニタリングすることは、実際のクリック獲得において最も重要な範囲をカバーしているため、SEO施策の効果測定としては十分に有用性を維持できるものと考えております。
今後のSEO対策における重点施策
Googleは従来型の検索結果を維持しながらも、今後はAIを軸にした情報提供への移行を加速させることが予想されます。AI Overviewsの展開拡大やSearchGPTなど競合サービスの台頭を背景に、検索エンジン最適化のあり方も変化を迫られています。このような環境変化を踏まえ、前向きな検索エンジン対策として以下の3つの施策に重点的に取り組むことを推奨いたします。
- 発信者のE-E-A-T強化による信頼性の確立
- 結論先行型のコンテンツ構成への最適化
- 情報のブロック化による構造最適化
第一に、コンテンツ発信者自身のE-E-A-T、すなわち経験、専門性、権威性、信頼性の確保が従来以上に重要となります。AIによる情報評価においては、発信者の認知度や社会的評価が重要な判断材料となるため、指名検索の獲得数、SNSにおける言及やフォロワー数、メディアでの露出実績、そしてサイトへのアクセス数といった「人気」を示す定量的な指標をいかに確保できるかが成果を左右します。具体的な施策としては、業界メディアへの寄稿や取材対応、事業テーマに関連した講演やセミナーへの登壇、プレスリリースやIR情報の継続的な発信、そしてSNSやコミュニティにおける積極的な情報発信とエンゲージメントの構築が挙げられます。これらの活動を通じて発信者としての存在感を高めることで、AIに情報源として採用されやすくなり、検索結果における上位表示の可能性も高まります。
第二に、結論を先に掲載するコンテンツ構成への最適化が有効です。この手法は従来のSEOにおいても効果が認められてきましたが、AI Overviewsをはじめとする生成AI系の検索機能においてはその重要性がさらに増しています。現在のAIプロバイダー各社は、計算コストの最適化を図るため、ページ全体を詳細に解析するのではなく、冒頭部分から効率的に情報を抽出する傾向があります。したがって、ユーザーの検索意図に対する回答や結論を記事の前半部分に集中させることで、AIによる情報抽出の対象となりやすくなります。具体的には、導入部分で結論を明示し、その後に詳細な説明や根拠を展開する逆ピラミッド型の構成が推奨されます。
第三に、情報を明確にブロック化して整理することが重要です。従来のSEOでは、1つのページに網羅的な情報を盛り込むことが有効とされてきましたが、AI時代においてはこのアプローチを見直す必要があります。AIはリソースの制約から、すべての情報を詳細に読み取ることが困難であり、構造化されていない大量のテキストからは適切な情報抽出が行われにくい傾向があります。したがって、1つのテーマやトピックごとに情報を明確な区画として整理し、見出しや段落構成によって論理的なブロック単位で内容をまとめることが有効です。場合によっては、1つの長大なページを複数の専門ページに分割し、各ページが特定のトピックに特化した構成とすることも検討に値します。このような構造最適化により、AIが必要な情報を効率的に特定し、検索結果やAI回答に引用されやすくなります。
まとめと今後の展望
以上が2025年9月分のSEOレポートとなります。今月は、スパムアップデートの完了と検索仕様の重要な変更という2つの大きな動きがありました。スパムアップデートについては、健全なサイト運営を継続している限り過度な懸念は不要ですが、検索仕様の変更については順位計測やデータ分析の運用面で具体的な対応が必要となります。特にnum=100パラメータの廃止は、SEO業界全体に影響を与える変更であり、各社が対応を迫られている状況です。
また、中長期的な視点では、AI時代に適応したコンテンツ戦略への移行が不可欠です。E-E-A-Tの強化、結論先行型の構成、情報のブロック化という3つの施策を継続的に推進することで、検索エンジンとAIの双方からの評価獲得を目指すことが重要です。従来のSEO手法に固執するのではなく、AIによる情報評価の仕組みを理解し、それに適応したコンテンツ制作を心がけることが、今後の検索エンジン最適化における成功の鍵となります。引き続き、最新の動向を注視しながら、効果的なSEO施策の提案と実行に努めてまいります。



